これはちょっと前の話なのですが、ある野良猫さんの話を書こうかと。
出会い
大学生時代よく散歩をしていた場所があって、いろんな人と歩いたりお話したりしていました。
それはある冬の寒い日の夜でした。
友人とご飯を食べた帰り、久々に散歩をしようって話になってそのお気に入りの場所をぶらぶらしていました。
すると後ろの方から「にゃー」と鳴き声がして、茂みから一匹の猫が現れたんです。
猫は警戒心が強いから、逃げないようにそっと近づいて行ったのですが、逃げるどころか私のところに寄ってきて、足元をすりすりし始めました。
「かわいい」と思ってしゃがむと、着ていたロングコートの内側に入り込み、しまいには腕に乗り込んで抱っこ状態。
暖を取りたくて来たのだとわかっているものの、猫を飼ったことがなかった私にとって、こんなに近づいてくれることにとっても感動しました。
しばらくして猫は歩いていってしまったのですが、「このまま一匹で冬を乗り越えられるのだろうか」と友人と心配していました。
再会
それから2年後の夏。
仕事を辞めてから大学時代の別の友人に会いに行ったときに、またあの場所を散歩したくなって足を運びました。
昼間だったので散歩をしたり観光に来たりしている方も多く、結構賑わっていました。
暑かったのもあり、友人とベンチに座ってゆっくりしていると、何やら後ろの方で人がわいわいしていました。
何だろうと二人で振り返ると、そこには猫が寝転がっていました。
私は「もしや」と思い、スマホの写真アルバムの中を一生懸命探しました。
「やっぱり…!」
この子は2年前に出会った猫でした。
「うわー、生きてたんだ、良かったー!!!」
夏の木陰で心地よく寝転がる姿は、冬の寂しそうにしていた頃と全く違って。
こんなに幸せそうにごろごろしてて良かったな、また会えて良かったな、と心の底から思いました。
そろそろまた寒い季節になります。
どうか今年もいろんな人の暖を取りながら、生きながらえますように。