腕時計の電池を交換しに行きました。
私の腕時計はエンジェルハートというブランドのメタルバンドのもので、高校に合格したお祝いに買ってもらいました。
東急百貨店の時計コーナーで、お店の人の押しが強かったのか、自分が気に入りすぎたのか、見に行くだけのはずだったのに買ってきた記憶があります。(「今日は買うつもりなかったのに」と母に後で愚痴られました)
そんな経緯で買ったものだから、お祝いなのに少し罪悪感があって(母は大体人の物を買うと愚痴るので仕方ないのですが…)毎日のように学校につけていっていました。
受験の時もこの腕時計で試験に臨み、大学生になってからも学校やバイトにつけてき、玄関のカギと一緒に置いておいて、出かけるときにつけるのが習慣でした。
社会人になってからは、工場勤務だったのでつけていかなかった気がします。(つけていったかもしれないけど、思い出せないくらい昔の記憶になってる)
休職してからは本当に外に出なくなってしまったので全然つけることがなくなって、ずっと玄関の引き出しボックスに入れたままでした。
今週、腕時計が必要な用事ができて、腕時計を久々に引っ張り出してきました。
大学時代まで動き続けていた時計はもうピクリとも動かなくなっていました。
ああ、そりゃ10年も経つんだから電池が切れてもおかしくないよね。
腕時計の電池交換ってどうやるんだろう…?
調べてみると、自分で交換するのは少し難しそう…。(保証が効かなくなったり、そもそも道具が必要だったり)
思い切って駅前の時計屋さんに行ってみることにしました。
駅にはチェーン店の時計屋があって、そこをまずは尋ねました。
そのお店では残念ながら工具がそろっていなくて、交換に3週間ほどかかるそう。
最近は電池交換の工具をそろえていないお店も多いらしく、百貨店の方の時計屋に行くことを勧められました。
百貨店は駅から少し歩くし、高級感漂う雰囲気に耐えられなくなるから正直行くのが面倒です。
でも交換しないといけないので、風さんの『花』を聴きながら踊るように歩いて向かいました。
平日なので階を上がるほどにお客さんは減っていき、時計のフロアに着いた頃には圧倒的な店員数にあたふたしてしまいました。
それを見かねた女性店員さんが「何かお困りですか」と尋ねてくれて、電池交換をお願いしました。
「20分でできます」と言われ、その間は別の階にある本屋で暇をつぶすことに。
20分が経ったころ、そっと息の詰まるような時計フロアに戻ってみると、先ほどいた時計職人さんとは別のおじさんが座っているではありませんか…!
声をかけるのが苦手な私は見て見ぬふりをして、しばらく修理スペースの隣の時計を眺めることにしました。
ショーケースに入った輝かしいCITIZNやSEIKOの腕時計。
可愛いキャラクターデザインの目覚まし時計。
大きくて立派な装飾が施されたRHYTHMの壁掛け時計。
時計屋さんを訪れたのは何年ぶりだろう、と思い返してみました。
多分最後に時計屋さんに行ったのは大学生の時。
今まさに電池交換してもらっている時計の文字盤の「6」の数字がはがれてしまって、直してもらいに行きました。
数字が取れたことにも驚きだったけれど、何より面白かったのが、「6」の穴のところが時計の秒針にハマってしまって(輪投げのように秒針に6がかかってしまったのです)時計が動かなくなってしまって…。
面白すぎてインスタストーリーに上げた気がします。
しばらくふらふらしていると、おじさんが私に気づいて「どうなさいましたか」と声をかけてくださいました。
「すみません、先ほど電池交換を頼んだ者でして…」
すると、なるほどといった顔で引き出しから箱を取り出し、
「こちらですね」
と時間がぴったり合ったエンジェルハートの時計を出してくれました。
お会計を済ませ、「腕時計つけていかれますか?」と聞かれたのでつけていくことにしました。
お客さんが全くいなかったからか、おじさんの向かいに立っていた男性店員にもあいさつされて、気恥ずかしい思いで時計のフロアを下りました。
腕時計を久々につけてみると、今までで一番ぶかぶかになっていました。
筋肉がかなり落ちているのでしょう、なんだか寂しい気持ちです。
そういえば、おじさんに「電池の持ちは2~3年でしょう」と言われたなぁ。
学生時代、少なくとも7年も動いてくれたのはすごいことだったのかな。
『古時計』という歌にある「100年休まずに」なんてのは無理な話なのでは。
いや、振り子時計と腕時計を比較するのは違うか…。
帰ってきて、以前のようにカギと同じところに腕時計を置いてみました。
何もないけど、腕時計をつけて出かける日があってもいいいかもしれません。
おわり